浦和地方裁判所 昭和49年(ワ)534号 判決 1975年8月29日
原告
加川キミヨ
ほか二名
被告
伊藤義行
ほか一名
主文
一 被告らは各自、原告加川キミヨに対し金一三九万二五九〇円及び内金一二七万二五九〇円に対する昭和四九年八月二五日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告らは各自、原告加川和江同加川真司に対し各金五三万五四〇五円ずつ及び右各金員に対する昭和四九年八月二五日から各完済に至るまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。
三 原告らのその余の請求は何れもこれを棄却する。
四 訴訟費用はこれを一〇分し、その九を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。
五 この判決は、(一)原告加川キミヨにおいて各被告に対しそれぞれ金三五万円の担保を供するときは、その被告に対し、原告加川キミヨ勝訴の部分に限り、(二)原告加川和江において各被告に対しそれぞれ金一四万円の担保を供するときは、その被告に対し、原告加川和江勝訴の部分に限り、(三)原告加川真司において各被告に対しそれぞれ金一四万円の担保を供するときは、その被告に対し、原告加川真司勝訴の部分に限り、何れも仮に執行することができる。
事実
第一請求の趣旨及びこれに対する答弁
一 原告ら
(一) 被告らは各自、原告加川キミヨ(以下キミヨという)に対し金一六〇五万七二四二円及び内金一五五五万七二四二円に対する昭和四九年八月二五日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
(二) 被告らは各自、原告加川和江(以下和江という)同加川真司(以下真司という)に対し各金一一九〇万二五〇二円ずつ及び右各金員に対する昭和四九年八月二五日から各完済に至るまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。
(三) 訴訟費用は被告らの負担とする。
(四) 仮執行の宣言。
二 被告ら
(一) 原告らの請求を棄却する。
(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二請求原因
一 事故の発生
被告伊藤義行(以下伊藤という)は、昭和四九年四月一二日午前三時四六分頃、普通乗用自動車(埼五六す七八四六号)(以下被告車という)を運転し、川口市上青木町一丁目二七五八番地先交差点を鳩ケ谷市方面から蕨市方面に向かい進行中、右交差点を右方道路から左方道路に向かい進行していた訴外加川満(以下満という)の自転車(以下原告車という)に被告車を衝突させて同所に顛倒させ、頭、顔面打撲兼裂創、両大腿、右下腿左足打撲、左側頭骨折等の重傷を負わせ、よつて死亡するに至らしめた。
二 被告らの責任
被告らは何れも被告車の運行供用者であるから自動車損害賠償保障法第三条により本件事故によつて原告らが蒙つた後記損害を賠償する責任がある。
三 損害
(一) 満の逸失利益の相続
満は、本件事故当時川口市寿町の株式会社五味鋳工所に電気溶解の熟練工として雇われ、昭和四八年一月から同年一二月末日までの一年間に合計金三一八万二八八六円を得ており、昭和四九年四月一五日発行の総理府統計局編家計調査報告によると浦和市の勤労者の年間消費支出は金三六万七五二四円であり、満の居住した川口市は浦和市と至近距離にあり勤労者の生活状態も最も類似しているから満の生活費は右消費支出によるべきであり、満は当時満四二歳であつたから満六三歳まで二一年間稼働し得たものと思われるので、ホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を年毎に控除して事故時の現価に引直すと、満の逸失利益は金三九七〇万七五〇五円となる。ところで原告キミヨは満の妻であり、原告和江同真司は各満の子であるから、原告らはそれぞれ前記損害賠償請求権のうち相続分三分の一にあたる金一三二三万五八三五円ずつを承継取得した。
(二) 治療費等
満は本件事故後救急車により川口市青木町岡崎病院に入院治療を受けたが、同日午前六時一五分死亡し、その入院治療費及び死亡診断書費用として金五万四七四〇円を要し、原告キミヨはこれを支払い、同額の損害を蒙つた。
(三) 葬儀費
原告キミヨは、夫満の本件死亡による葬儀費として、金五〇万円を支出し、同額の損害を蒙つた。
(四) 慰藉料
1 原告キミヨは、突然の事故のため最愛の夫を喪い四〇歳の若さで未亡人となり、一五歳の長女原告和江及び一二歳の長男原告真司を女手一つで養育してゆかねばならず、多大の精神的苦痛を受け、その慰藉料は金五〇〇万円が相当である。
2 原告和江はいまだ一五歳、原告真司は一二歳の年少で父を喪い、それぞれ多大の精神的苦痛を受け、その慰藉料はそれぞれ金二〇〇万円ずつが相当である。
(五) 弁護士費用
原告らは原告訴訟代理人弁護士真野昭三に本件訴訟提起を委任し、原告キミヨは原告代理人に着手金として金一〇万円を支払つたほか報酬として金五〇万円を支払う契約をした。
四 保険金の受領と充当
原告らは本件事故に基づく自動車損害賠償責任保険金一〇〇〇万円の交付を受ける予定であるので、原告らは何れもその三分の一の相続分にあたる金三三三万三三三三円ずつを前記損害金のうち慰藉料逸失利益の順に充当する。
五 結論
よつて被告らに対し各自、原告キミヨは三の(一)、(二)、(三)、(四)の1、(五)の損害合計額金一九三九万〇五七五円から四の受領保険金三三三万三三三三円を控除した金一六〇五万七二四二円及び内金一五五五万七二四二円(未払の弁護士費用金五〇万円を控除したもの)に対する本件訴状送達の日の翌日である昭和四九年八月二五日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求め、原告和江同真司はそれぞれ三の(一)(四)の2の損害合計額金一五二三万五八三五円から四の受領保険金三三三万三三三三円を控除した金一一九〇万二五〇二円及び右各金員に対する本件訴状送達の日の翌日である昭和四九年八月二五日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
第三請求原因に対する認否
一 請求原因第一項は認める。
二 請求原因第二項中、被告栄和商事株式会社(以下被告会社という)については争う。
三 請求原因第三項中、(一)逸失利益については不知、ただし控除すべき生活費は収入の三割とすべきである。(二)治療費及び(三)葬儀費用については不知。(四)慰藉料については争う。(五)弁護士費用については不知。
第四被告らの抗弁
一 過失相殺
本件は信号機による交通整理の行われている交差点における出合頭の衝突事故であり、事故発生時被告伊藤の進行する道路の対面信号が青色表示で、満の進行道路の対面信号が赤色表示であり、本件事故は満が赤色信号を無視して無灯火の自転車で交差点を横断しようとしたため発生したものであり、しかも本件事故発生時間が深夜の午前三時四六分であることを考えると、被告伊藤において横断者の存在ましてや赤信号を無視して本件交差点を横断する者はいないであろうことを信頼して自動車を運転したとしても到底これを責めることはできない。よつて過失割合は満九に対し被告伊藤一の割合と認めるのを相当とするから、損害額の算定につき斟酌されねばならない。
二 保険金の受領と充当
原告らは本件事故に基づく自動車損害賠償保険金一〇〇四万三四三〇円を受領したから、これを前記損害金に充当さるべきである。
第五被告らの抗弁に対する原告らの認否
一 過失相殺の主張については争う。
二 保険金の受領事実は認める。
第六証拠〔略〕
理由
第一事故の発生
被告伊藤が、昭和四九年四月一二日午後三時四六分頃、被告車を運転し、川口市上青木町一丁目二七五八番地先交差点を鳩ケ谷市方面から蕨市方面に向かい時速約五〇キロメートルで進行中、右交差点を右方道路(川口市根岸方面)から左方道路(川口市本町方面)に向かい進行していた満の自転車(原告車)に被告車を衝突させて同所に顛倒させ、頭、顔面打撲兼裂創、両大腿右下腿左足打撲、左側頭骨折等の重傷を負わせ、よつて死亡するに至らしめたことは当事者間に争いがない。
第二被告らの責任
一 被告伊藤が被告車の運行供用者として自動車損害賠償保障法第三条により本件事故によつて原告らが蒙つた後記損害を賠償する責任があることについては当事者間に争いがない。
二 〔証拠略〕によると、被告伊藤は、本件事故以前から現在に至るまで被告会社に雇われ、被告会社が経営するキヤバレー「ゴールデン東京」のマネージヤーとして働いていること、被告会社は被告車を所有したが、野村某の名義を借りて登録名義は野村某となつていること、被告会社の用事のため被告車が使用されたこと、ホステスが休んだ場合に、被告会社の従業員のうち運転できる者が被告車を運転してホステスの家庭を訪問していたこと、昭和四九年四月一二日は国電のストのため「ゴールデン東京」のホステスが帰れないので、被告伊藤は被告会社から被告車でホステスを自宅へ送るように指示され、同日午前一時頃被告車にホステス四名を乗せて川口市西川口、蕨市、浦和市まで運転して、その帰途本件事故を惹起したことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。右の認定事実によると、被告会社は被告車の運行供用者であることが認められるから、被告会社は自動車損害賠償保障法第三条により本件事故によつて原告らが蒙つた後記損害を賠償する責任がある。
第三過失相殺
〔証拠略〕を総合すると、被告伊藤は、昭和四九年四月一二日午前三時四六分頃、被告車を運転し、鳩ケ谷市方面から蕨市方面に向かい時速約五〇キロメートルで進行中、信号機によつて交通整理が行われている川口市上青木町一丁目二七五八番地先交差点に差しかかつたこと、鳩ケ谷市方面から蕨市方面に至る道路は幅員八・八メートルの直線舗装道路であり、これに交差する川口市根岸方面から同市本町方面へ至る道路(県道本町根岸線)は幅員七・三メートルの直線舗装道路であり、事故当時右交差点付近は街灯はあつたが薄暗かつたこと、被告伊藤は、交差点約四〇メートル手前で信号機が青色に変わつたので、深夜で人通もないので時速六〇キロメートル位に加速して約三〇メートル進行したところ、交差点内右方から左方へ向かい信号機が赤色であるのに進行していた自転車(原告車)を僅か八・五メートルに接近して初めて発見したが、制動措置・ハンドル措置を講ずる間もなき、被告車が七・五メートル・原告車が四メートル各進行した地点で両車が衝突したこと、被告伊藤は、原告車を初めて発見した際の被告車の位置から八・七メートル手前の地点から、原告車を初めて発見した際の原告車の位置から六・五メートル手前の地点まで発見可能であつたこと、被告伊藤が原告車を初めて発見した際の被告車の位置から八・七メートル手前の地点から衝突地点まで一六・二メートルであつたこと、原告車は信号機が赤色であるのにこれを無視して進行したこと、被告伊藤は被告車によつてその進行方向衝突地点から二一メートルの地点に満を跳ね飛ばしたこと、被告伊藤は衝突事故を知りながら救護の措置をせず警察にも報告をせずに逃走したこと、右交差点における埼玉県公安委員会による制限速度は四〇キロメートルであつたこと、が認められる。〔証拠略〕中右認定に反する部分は前掲各証拠と対比してたやすく措信し難く、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。自動車運転者は自動車を運転するにあたり制限速度を遵守すべきは勿論、進行方向の信号機が青色に変じたばかりであれば、交差点左右道路から人や自転車が信号機が黄色で交差点内に進入することが予見されるから、交差点左右道路の安全を確認すべき義務があるにもかかわらず、被告伊藤は前記認定のとおりこの義務を怠り(前方不注視、予見義務違反、速度違反)、制限速度時速四〇キロメートルを二〇キロメートル超過した時速六〇キロメートル位で進行し、信号機が青色に変じたばかりであるのに交差道路左右から人や自転車が信号機が黄色で交差点内に進入するのを予見せず、交差道路左右の安全を確認せず漫然高速度のまま交差点に進入し、原告車に僅か八・五メートルに接近して初めてこれを発見したが間に合わず、本件事故が発生したものであるから(被告伊藤が原告車を初めて発見した際の被告車の位置から八・七メートル手前の地点から衝突地点まで一六・二メートルであつたから、右八・七メートル手前の地点で制動措置を講ずれば、衝突は免かれないとしても被害程度が比較的小であつたことが予想される)、この点に被告伊藤の過失があるといわねばならない。自転車の運転者は信号機が赤色であれば停止すべき義務があるにもかかわらず、満は前記認定のとおりこの義務を怠り、信号機が赤色であるにもかかわらず漫然交差点を進行した結果、本件衝突事故に遭遇したものであつて、この点に満の過失があるといわねばならない。
そこで満の過失とを比較すると、双方の過失の度合は、大体満七・五に対し被告伊藤二・五の割合と認めるのが相当である。
第四損害
一 満の逸失利益の相続
〔証拠略〕によると、満は昭和七年三月七日生れで本件事故当時満四二歳の極めて健康な男子であつたこと、満は昭和三三年から本件事故当時まで一六年間川口市寿町の株式会社五味鋳工所に電気溶解の熟練工として雇われ、昭和四八年一月一日から同年一二月末日までの一年間に合計金三一八万二八八六円の給料を支給されたこと、満は妻原告キミヨ長女原告和江長男原告真司の四人家族であり、居住の土地建物は満所有であり、一家の生計費は一箇月平均金一五万円であつたこと、が認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠がなく、他方昭和四九年四月一五日発行の総理府統計局編家計調査報告によると浦和市の勤労者一人の年間消費支出は金三六万七五二四円で、満の居住した川口市は浦和市と至近距離にあること、は当裁判所に顕著である。しかして右の認定事実によると満の年間生活費は年間収入の二割を相当とするからこれを控除すると、満の年間純収入は金二五四万六三〇八円(円未満切捨)となる(税金を控除しない)。右事実に昭和四六年簡易生命表上日本人の四二歳の男子の平均余命は三一・六二年であることを考えあわせると、満は本件事故がなければ大体右余命年数程度生存し、六七歳に至るまで(電気溶解工は六七歳まで稼働可能と考える)あと二五年間毎年金二五四万六三〇八円の純収入をあげうべきところ、これを本件事故による死亡によつて失つたと認めることができる。右金額を基礎とし、ホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を年毎に控除して事故時の現価に引き直すと、金四〇五九万八五八九円(円未満切捨)となる。
2546308円×15.9441(25年のホフマン係数)=40598589.3828もつとも本件事故については前記のように満にも過失があるのでこれを斟酌すると、満の被告らに対する逸失利益による賠償請求権は金一〇一四万九六四七円(円未満切捨)となる。
ところで前記認定のとおり原告キミヨは満の妻であり、原告和江同真司は何れも満の子であるから、原告らはそれぞれ前記損害賠償請求権のうち相続分三分の一にあたる金三三八万三二一五円(円未満切捨)ずつを承継取得した。
二 治療費等
〔証拠略〕によると、満は本件事故後救急車により川口市青木町岡崎医院に入院して治療を受けたが、同日午前六時一五分死亡し、原告キミヨはその入院治療費及び死亡診断書費用として合計金四万八七四〇円を支払つたことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠がないから、原告キミヨは本件事故によつて同額の治療費等の損害を蒙つたことになる。
もつとも本件事故については前記のように満にも過失があるのでこれを斟酌すると、原告キミヨの被告らに対する治療費等による賠償請求権は金一万二一八五円となる。
三 葬儀費
〔証拠略〕によると原告キミヨは夫満の本件死亡による葬儀費として金五〇万円を支出したことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠がないから、原告キミヨは本件事故によつて同額の葬儀費の損害を蒙つたことになるところ、右金額は原告加川キミヨ本人尋問の結果によつて認められる満の生活程度に照らし本件事故と相当因果関係にある損害というを相当とする。
もつとも本件事故については前記のように満にも過失があるのでこれを斟酌すると、原告キミヨの被告らに対する葬儀費による賠償請求権は金一二万五〇〇〇円となる。
四 慰藉料
〔証拠略〕によると原告キミヨは突然の事故のため最愛の夫を喪い四〇歳の若さで未亡人となり一五歳の長女原告和江及び一二歳の長男原告真司を女手一つで養育してゆかねばならなくなつたこと、原告和江はいまだ一五歳、原告真司はいまだ一二歳の年少で父を喪つたことが認められ、被告伊藤は満に重傷を負わせながら救護をしないで逃走したことは前記認定のとおりであり、原告らは何れも本件事故によつて多大の精神的苦痛を受けたことが推認される。右事実と前記認定の満の過失の度合その他本件全証拠によつて認められる諸般の事情を斟酌すると、原告らの受けるべき慰藉料の額は、原告キミヨに金一〇〇万円、原告和江に金五〇万円、原告真司に金五〇万円をもつて相当と認める。
五 弁護士費用
〔証拠略〕によると、被告らは誠意をもつて示談しようとしなかつたので、原告らは昭和四九年八月一日原告訴訟代理人弁護士真野昭三に訴訟提起を委任し、原告キミヨが着手金として金一〇万円を支払つたほか、報酬として判決の認容額の一割を支払うことを約したことが認められる。不法行為の被害者ないしその遺族が賠償義務の履行を受けられない場合権利を実現するには訴を提起することを要し、そのためには弁護士に訴訟委任するのが通常の事例であるから、本件において被告らが誠意をもつて示談しなかつた以上、弁護士に訴訟提起を委任し被告らの責任を追及することはやむをえないところであり、しかして本件事故のような不法行為による損害賠償請求訴訟をなす場合に要した弁護士費用のうち権利の伸張防禦に必要な相当額は当該不法行為によつて生じた損害と解するのが相当であるが、その額は事案の難易、認容すべきとされた損害額その他諸般の事情を斟酌して決定すべきであつて、委任者が負担を約した弁護士費用全額が損害となるものではない。これを本件についてみれば、原告キミヨが金一二万円、原告和江が金五万円、原告真司が金五万円が、各被告をして賠償させるべき弁護士費用と認めるのが相当である。したがつて原告キミヨは右合計金二二万円の損害を蒙つたことになる。
第五保険金の受領と充当
原告らが本件事故に基づく自動車損害賠償責任保険金一〇〇四万三四三〇円を受領したことは当事者間に争いがないから、原告らはそれぞれその三分の一の相続分にあたる金三三四万七八一〇円ずつを前記損害金に充当することとする。
第六結論
よつて原告キミヨの本訴請求は、被告らに対し各自第四の一、二、三、四、五の損害合計額金四七四万〇四〇〇円から第五の受領保険金三三四万七八一〇円(充当金)を控除した一三九万二五九〇円及び内金一二七万二五九〇円(認容弁護士費用のうち未払額金一二万円を控除したもの)に対する本件訴状送達の日の翌日であること本件記録に徴し明らかな昭和四九年八月二五日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容しその余は理由がないからこれを棄却し、原告和江の本訴請求は、被告らに対し各自第四の一、四の損害合計額金三八八万三二一五円から第五の受領保険金三三四万七八一〇円(充当金)を控除した金五三万五四〇五円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日であること本件記録に徴し明らかな昭和四九年八月二五日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、原告真司の本訴請求は、被告らに対し各自第四の一、四の損害合計額金三八八万三二一五円から第五の受領保険金三三四万七八一〇円(充当金)を控除した金五三万五四〇五円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日であること本件記録に徴し明らかな昭和四九年八月二五日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条第九二条第九三条第一項を仮執行の宣言につき同法第一九六条第一項を各適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 松澤二郎)